母校INSEADは最近(前から?)、Lifelong Learning(生涯学習)に積極的でして、
今回、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、オンラインの「Navigating the Turbulence of COVID-19」という無料のウェビナー シリーズが立ち上がりました。
先ほどレクチャーを1つ聴いてきまして、覗き見(覗き聴き)程度のつもりだったのですが、とてもよかったので、印象に残ったところをシェアします。
世界各国から2,000人くらい参加していた模様です。本当かな。
(聞き取り力、メモとり力、翻訳力が及んでいないところがあります。意訳もあります。ご理解の上でお読みください。)
タイトル:Leading in a Crisis
講師:Declan Fitzsimons, Senior Affiliated Professor of Organizational Behaviour, INSEAD
クライシス(危機)時は、Disruption(混乱)が起きている。
直線的なプロセスはなく、様々なことが同時に起きている。
このような時に、リーダーがすべきこと、として以下の話がありました。
まず、一番に、セルフ・モニタリング。
まず第一に、自分に何が起きているのか、自分がどのような感情や感覚になっているのかに気づくこと。
そして、例えばもし不安になっているのであれば、その不安にどのようにresponse(対応)しているのかに気づく。
不安を感じないように、あえて忙しく振舞っているのか。
不安を感じて焦っているのか。
それとも、不安を感じながらも、それを横に置きながら状況を見て対応できているのか。
そして自分が取っているresponseが機能しているのかどうかをよく見る。
危機時の判断というのは、Aにしようか、Bにしようか、という類のものではない。
目の前のことをやりながらも(doing)、同時に自分の状態に気づいていることが重要。
白か黒か、どちらか一方、という話ではない。
この自分の状態や感情に気づく力(Ability to Check-in)は、次の、周囲の人たちについて気づくというためにも重要。
自分の感覚が麻痺していては、周囲が発している微細なシグナルにも気づくことはできない。
自分の感情にエンゲージできていることが、リードすることを可能にする。
そして、周囲の人たちにも何がおきているかに気づく
そして、周囲の人たちにも何が起きているか、どのような感情を経験しているのかに気づく。
自分について気づくことと、周囲の人たちについて気づくこと。
そのどちらかではなく、両方ともに気づく。
どこに自分のattention(注意)を向けるのかに意識的であることはとても重要であり、またリソースにもなる。
自分の状況にも、周囲の状況にも、両方に注意を向けることを意識する。
皆の感情や不安、憂鬱な気持ちを表現できるスペースを創る
過去に経験したことのない状況においては、人は、混乱や方向感覚を失ったようになり、自分たちが何を経験しているのかすらわかっていない状態になりうる。
リーダーの仕事は、皆が、自分たちに起きているのか、どんなことを感じているのかをそのままに表現し、それが何であるかがわかって言える(label it)ようになるスペースを創ること。
どんなネガティブな感情であっても表現されることが許されるスペースを創る。リーダーがそれを聴きたくないという姿勢ではうまくいかない。
リーダーの側から話すこと(伝えること、指示すること)がないからコミュニケーションの機会をとらない、というのは最悪。
上記のために、打ち合わせではチェックイン(自分たちのスペースをチェック)するところから入る
皆がそれぞれに何を感じているのかを表現できるようにチェックインする時間と場を設ける。
1時間の打ち合わせで、最初の20分くらいがこの時間に充てられても全く問題ない。
平常時よりも会議の時間を余裕を見て設定しておく。
リーダーからは話し始めない。リーダーは最後に話す。
また、順序も決めない。指名もしない。
発言する人がいなくて沈黙が続いても、その沈黙にも寛容でいる。その沈黙の質感を感じている。
リーダーは、その部屋の中でbest learnerであれ
リーダーは、その部屋の中で誰よりも何でも知っている存在である必要はない。
そんな存在になろうとしても無理だし、それは専門家に任せる。
その代わりリーダーは、その部屋の中でbest learner、fastest learner(ベストな学び手、最もはやく学ぶ人)であれ。
Vulnerability(直訳すると脆弱性)を「弱い」と考えている人が多いがそうではない。
Vulnerabilityは学ぶ力があるということ。
あなたがVulnerableでなければ、それは学んでいないということ。
Vulnerableでいることによって、自らの役割においてよりしっかりと立つことができる。
最もやってはいけないのは、タスクだけに集中すること
クライシスにおいて、まず一番にタスクだけの話をしていたら、あるいは、タスクが全てだと思って対応していたら、間違いなく問題が起きるだろう。
まずは第一は、コネクションを感じることと、気持ちを扱うこと(注:これは、自分自身とのコネクション、他者とのコネクション、両方だと勝手に解釈します)。タスクはそれから。
自分自身の恐怖への対処方法(参加者からの質問)
- 不安な気持ち、淋しさ、嘆きなどを表現すること(認める、くらいだったかもしれません)。酸素を送るように。自分にgentleでいること。
- 人とのつながりを保つこと。人とのつながりを感じることは心理的に安全を感じることにつながる。
- 呼吸。深く。ゆっくりと。呼吸は自律を取り戻す素晴らしい方法。
前に立って引っ張っていくという、ひと昔前のリーダーシップとはとても違います。
VUCA極まりない時代のリーダーシップはこうだろうと思います。
そして、いや、これ、もう、ほとんど、コーアクティブ®︎・リーダーシップ(Co-Active Leadership)ではないですか?と思いながら聴きました。
コーチとして、また、私たちCTIのミーティングでも、いつも、これらを意識しています。
先日の記事(心理的安全性のつくり方)で触れた私たちの内輪の会議は、必ずスペースチェックから入ります。
新型コロナのことがあって以降、最近、この時間は日頃以上にしっかり取っています。
実際、参加者からは、上記を実践していくには、コーチングなどは有用という声が上がっておりました。
この状況からも私たちはこのPlanetのために何かを学ぶことができるはずだという教授の締めくくりに、心から共感しました。
この記事は、こんな人が書いています。
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この記事が響く方に是非とも読んで頂きたい本。英語のみですが、薄いのに濃いです。
リーダーシップについての考え方が変わると思います。:
Co-Active Leadership: Five Ways to Lead (English Edition)
- 作者:Kimsey-House, Karen,Kimsey-House, Henry
- 発売日: 2015/09/21
- メディア: Kindle版
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